頻尿について

 気温が下がってくると、お手洗いの回数が増えてくる方も多いのではないでしょうか?また、夜間に何度も尿意を感じて目が覚める方もいらっしゃるかもしれません。

 漢方では尿は五臓のの作用によって調整されていると考えられています。腎の機能は加齢によって衰えてくるので、年齢を重ねていくとトイレが近くなったり、夜間に何度もトイレに起きるということが増えてきます。

 このように腎の機能が低下して、身体の冷えもあるような場合は『腎陽虚』証の可能性があります。夜間に頻尿があるが、昼間は津液(水)を全身に行き渡らせる機能の低下により津液が停滞し、むくみやすくなり、尿量はむしろ少なめになります。手足の冷えなどの症状も起こりやすいです。この場合は体を温めて、腎機能を高める『八味地黄丸』を使うことが多いです。むくみがひどい場合は『牛車腎気丸』を使います。

 腎の機能が低下した頻尿でも加齢や過労、不規則な生活、大病や慢性的な体調不良などによって精(エネルギー)が不足して起こる場合は尿の色は濃く、量は少なくなります。手足のほてりが出る場合があります。この場合は『腎陰虚』証と考えられ、『六味地黄丸』を使うことが多いです。

 ストレスや緊張が続くと五臓の肝の気の流れが滞って、膀胱に影響を与える場合があります。この場合は、昼間は頻尿でも夜寝てる間は一度もトイレに起きないことが多いです。膀胱内の尿量が少なくても尿意を感じやすくなっています。舌の色が赤いこともあります。肝気の流れを良くするために『四逆散』『加味逍遙散』を使うことが多いです。

 腎が弱い方は、くるみや山芋など腎気を補う食品を摂るようにしましょう。また、身体の冷えには気を付けましょう。