肩こりについて

 首から肩にかけてこわばったり、重苦しくなる肩こりを感じる方も多いと思います。ひどくなってくると頭痛や吐き気を感じることもあると思います。

 人間の頭部は重く、体重の約10%の重さがあります。頭部の重心が脊椎の真上にあれば、首から肩に負担は掛かりにくいですが、斜め下に向いた状態が続くと筋肉の緊張が強まってしまいます。デスクワークでパソコン作業や事務仕事が多い方は肩こりになりやすいと言えます。

 首から肩の筋肉の緊張が長く持続し慢性化すると、筋肉が硬くなり、血液の循環が悪くなってしまいます。そうすると酸素や栄養が筋肉全体に行き渡らず、疲労がたまってしまいます。西洋医学では湿布を貼ったり、消炎鎮痛剤や筋弛緩薬などを内服して対応します。漢方では気血の流れを良くして、肩こりを改善していきます。

①気の流れが良くない体質
 精神的なストレスや緊張で気の流れが悪くなり、肩が凝りやすくなり、イライラしたり、お腹が張りやすくなってしまいます。女性では月経前症候群(PMS)が起こりやすくなってしまいます。気の流れを良くする『四逆散』や『加味逍遥散』などの漢方薬を使います。

②血の流れが良くない体質
 血の流れが悪く、血流が鬱滞しやすいため慢性的に肩こりが起こりやすくなります。足が冷えやすかったり、女性では生理痛が起こりやすくなります。血流を良くする『桂枝茯苓丸』などの漢方薬を使います。

③血(けつ)が不足している体質
 血液や栄養を意味する血(けつ)が不足しているため、肩の筋肉に十分な栄養や潤いが行き渡らず、慢性的な肩こりになりやすい体質です。目の疲れやドライアイ、爪がもろくなるなどの症状も起こりやすくなります。血を補う『四物湯』などの漢方薬を使います。

 肩こりで葛根湯を飲んでいる方もいらっしゃるかもしれません。肩のこわばりがあり、寒気がして汗が出ないようなときには効果があります。ただ、葛根湯は長期に連用する薬ではないので、肩こりが起きやすい体質を改善していく漢方薬を使っていただいた方がいいと思います。また、適度な運動も有効なので、ウォーキングで全身を動かしたり、仕事の合間に首や肩のストレッチをするなどの習慣も取り入れて下さい。