咳について
前回は風邪の後の咳についてご紹介しましたが、今回は慢性の咳の対処法についてご紹介します。
冷たい空気やほこり、花粉、細菌などの異物が肺に入った時に出る咳は、それらを肺の外に追い出すために出る反応です。しかし、長引く咳や繰り返し出る咳は臓腑の機能失調により病邪が肺に至るた めに出ていると考えます。
数か月前に風邪をひいて、そのあと咳だけがずっと残り、粘り気のある黄色い痰が出る場合は肺熱証と考えられます。痰が黄色い、痰が粘る、喉が渇く、舌苔が黄色いなどの症状があれば、肺の熱により咳が出ていると判断できます。肺の熱を取るために麻杏甘石湯を使います。
咳が長引いて体力を消耗している場合は気を補う薬も一緒に飲むことがあります。
ゴホゴホと湿った咳が出て、白い痰がたくさん出る場合は肺に余分な水分が溜まっていると考え、二陳湯を使います。日頃から食欲がなかったり、軟便気味、疲れやすい、舌苔が白いなどの症状があれば、胃腸機能の弱さから余分な水分が溜まり、痰となっていると考えます。その場合は胃腸機能を高めながら、余分な痰をさばく六君子湯を使います。
喉に何かつまった感じがして、咳ばらいをしても取れないような場合は、ストレスなどで気の巡りが悪くなり気と痰が喉に溜まっていると考えます。東洋医学では「梅核気(ばいかくき)」といい、梅の種が喉につまっているような感じがします。この場合は半夏厚朴湯を使います。
咳が続いていると睡眠状態が悪くなったり、体力も消耗していきますので、早めに対処しましょう。ぜひ、ご相談ください。