アトピー性皮膚炎について

 アトピー性皮膚炎の治療でステロイド外用剤を処方されることが多いと思います。ステロイド外用剤を使って症状が落ち着いてくると、「治った」と思って使用を中断し、また症状が悪化するということがあると思います。また、長期のステロイド外用剤の使用を不安に感じ、根本的に治したい、体質改善をしたいと考えている方もいらっしゃると思います。

 アトピー性皮膚炎は痒みが強く、寝ている間に無意識に患部を搔いてしまうこともあると思います。そうすると、皮膚の状態が悪くなり、皮膚炎が悪化しやすくなります。痒みの原因は皮膚の乾燥、皮膚のバリア機能の低下にあります。バリア機能の低下により、ハウスダストやダニ、花粉、細菌、汗などの刺激に反応しやすい状態になっています。

 アトピー性皮膚炎の人にみられる基本的な体質は、『陰虚』体質です。水分や栄養などの体液が不足して肌が乾燥し、刺激に対して敏感になっています。『陰虚』体質に使う基本の処方は『六味地黄丸』です。赤みや痒みなどの炎症がひどい場合は、炎症を抑える『黄連解毒湯』を併用することもあります。

 ストレスなどで症状が悪化しやすい場合は、気の流れの悪化が影響していると考えます。また、アトピー性皮膚炎が長期間続いていて、患部に色素沈着が見られる場合は、血(けつ)の流れが良くないと考えます。女性の場合は月経痛がつらい人が多いと思います。このような場合は気血の流れを良くする漢方を使います。日常生活では、座る時間が長いようなら、途中で立ち上がって歩いたり、ストレッチをするようにして下さい。また、身体や胃腸を冷やさないように注意してください。

 子供のアトピー性皮膚炎は消化器系の弱さが関係していることが多いです。食事に偏りがあったり、甘いものが好きで、甘いお菓子をよく食べる場合は、バランスの良い食事にして、甘い物や冷たい飲み物は減らすようにしてください。お腹の調子を整える漢方を使うことで、肌の調子も良くなっていきます。

 アトピー性皮膚炎は薬での治療と同時に日常生活の改善も大切です。石鹸やシャンプーは刺激の強いものは避け、泡立てて優しく洗浄してください。肌が乾燥しやすい方は保湿剤を塗って、皮膚を保護してください。ストレスや睡眠不足も症状の悪化につながるので、生活リズムの改善も大切です。食事は甘いもの、油もの、冷たいもの、辛いもの、加工食品は症状が悪化しやすいので、減らすようにして下さい。

 現在、出ている症状やこれまでの経過、体質により使う漢方薬が変わってきます。自己判断で使用する前にぜひ、ご相談ください。