月経不順(周期の異常)について

 今回は月経が遅れる、早まる、安定しないなどの周期が乱れる月経不順についてお伝えします。

 月経不順の場合、一般的には低用量ピルなどのホルモン療法で月経周期を整えます。しかし、低用量ピルで周期を整えても、体の根本的な原因が整っていなければ、ピルの服用をやめると月経不順に戻ることが多いです。

 月経周期の異常と関係が深いのは、体内の栄養である血(けつ)の乱れです。また、血の流れに関わる気の失調も月経周期の乱れに関係します。

 月経周期が短く、経血の色が薄い場合は気が不足してるかもしれません。気の機能の一つに、血など人体に必要なものが体外に漏れ出ないようにコントロールする働きがあるのですが、気が不足するとこの力が弱まり、出血しやすくなります。この場合は気を補う『補中益気湯』などを使います。

 月経が遅れることが多く、たまに月経が来ても量が少なく、色が薄い場合は体に必要な血(けつ)が不足しているかもしれません。髪の毛や肌の乾燥、爪が割れやすい、目が疲れやすいなどの症状が出ることもあります。この場合は血を補う『四物湯』や『十全大補湯』などを使います。

 また、体の冷えにより、血の流れが滞り月経周期が遅れる場合もあります。この場合は体を温める漢方薬を使います。

 月経が早く来たり遅れたりして、周期が安定しない場合は肝気の流れが滞っているかもしれません。ストレスや緊張により周期が乱れやすかったり、月経前のイライラ、乳房の張り、下痢や便秘を繰り返すなどの症状が出ることがあります。この場合は肝気の流れをスムーズにする漢方薬を使います。

 また、加齢や生活の不摂生、過労により周期が不安定になる場合は腎精が不足している『腎虚』証かもしれません。腰痛や足腰のだるさ、耳鳴り、めまいなどの症状も起きやすくなります。この場合は腎の機能を補う漢方薬を使います。

 月経不順は体内に不調があり、その結果として表れている症状です。バランスの良い食事で栄養を補ったり、質の良い睡眠で心身の疲れを取ったり、運動をして体内の気血の流れを良くするなど、生活改善も大切です。また、『冷えは万病の元』というように、冷えを放置すると様々な不調につながります。まずは体を冷やす冷たい飲み物や食べ物を控えることから始めてみましょう。