貧血について
貧血とは、血液中の赤血球やそこに含まれるヘモグロビン(血色素)が少なくなった状態を指します。最もよくみられるのは、ヘモグロビンに含まれる鉄が不足して起こる鉄欠乏性貧血です。
ヘモグロビンの役割は、肺で酸素を受け取り、体の隅々にまで酸素を運搬すると同時に、要らなくなった二酸化炭素と結びついて肺から放出することです。そのため、ヘモグロビンが少ないと全身に運ばれる酸素の量が減って酸欠状態になり、疲れやすい、めまい、立ちくらみ、頭重感、頭痛、動悸、息切れ、顔や唇の色が悪い、肩こりなどの症状があらわれます。西洋医学では鉄剤が処方されます。
漢方では血液は血(けつ)に含まれます。血(けつ)は血液だけでなく、全身の組織に栄養や潤いを与えて滋養するという働きも含まれています。
血(けつ)は、主に飲食物から作られます。そのため、漢方では血(けつ)を補うだけではなく、胃腸機能を高めて、自分で血を作り出す力を高めることも重視しています。胃腸機能を高めて、血を補う漢方として十全大補湯、人参養栄湯、帰脾湯などがあります。また、胃腸機能が弱い方は先に胃腸を立て直すために、六君子湯や人参湯などを使うこともあります。
また、貧血がなかなか改善しない、繰り返し起こるようなら五臓の腎が弱っている可能性があります。腎は気や血の基本物質である精を貯蔵してます。腎の衰えにより、精が不足すると気や血も不足してしまいます。腎を補う漢方としては六味地黄丸や八味地黄丸などを使います。
漢方薬の使い分けについてはご相談ください。
日常生活では、牛肉、豚肉、レバー、いか、たこ、まぐろ、鰯、鮭、うなぎ、牡蠣、ほうれん草などで血を補うようにして下さい。また、胃腸の機能を高めるためには、よく噛んで食べる、食べ過ぎない、胃腸を冷やさないということも注意してください。血を作るためには陰の時間である夜にしっかり睡眠をとることも大切になります。